授乳中の薬の服用について
授乳中のお薬について友人から時々質問を受けるので、記事にしました。
授乳中のお薬についての考え方
授乳中に飲める薬かどうか判断する際には
- 乳汁への移行率
- 乳汁中に移行した場合の子どもへの影響
- 子どもの月齢
- 授乳間隔
- 薬の服用期間(短期服用か長期服用か)
といった様々な要因を考慮します。
添付文書では「授乳を中止すること」となっている医薬品が多いが…
医薬品にはそれぞれ、医薬品の基本的な情報が記載された薬の説明書「医薬品添付文書」があり、ここに授乳婦への投与という項目があります。
しかし授乳婦に投与した臨床試験を行った薬はほとんどないため、多くの薬では授乳を中止するようにといった記載になっています。
実際には、授乳中に飲めない薬はそれほど多くないと言われており、添付文書で授乳を中止するよう記載されている場合でも、海外や国内のデータや使用実績から授乳中の服用が問題ないと判断されるケースもあります。
インターネットの情報が混乱を招くことも
インターネット上の情報では、添付文書の情報やその他の情報がごちゃ混ぜになっているため、調べると「Aのサイトでは授乳中も飲んで良いと書いてあるのに、Bのサイトでは授乳中は飲んではいけないと書いてある。いったいどっちなんだろう」といった混乱を招く原因になります。
医師によって違うことを言われるのはなぜ?
また、医師によって、同じ薬でも、授乳を続けて良いと言われる場合と、授乳を中止するよう言われる場合があります。
どちらが間違いという訳ではないのですが、私はできる限り授乳を中止したくない上、娘が哺乳瓶拒否で母乳しか飲まない時期があったため、授乳中でも飲める薬を処方してくれる医師にかかるようにしていました。
医師や薬剤師に遠慮せず相談を
授乳中に薬を飲む際には、医師や薬剤師に相談しましょう。市販のお薬についても、これ飲んで大丈夫かしら?と不安に思ったら、どうぞ遠慮せずにかかりつけの薬局で質問してみて下さいね。
お薬によっては、薬局では「主治医の先生に確認してください」としかお答えできない場合もありますが、薬剤師は信頼できる情報源についての知識がありますので、調べられる範囲でお答えします。
国立生育医療研究センターHPも活用
インターネット上で得られる信頼できる情報について知りたい場合は、国立生育医療研究センターのホームページでも授乳中の薬の服用について解説されてます。
「授乳中に安全に使用できると思われる薬」、「授乳中の治療に適さないと判断される薬」に記載されているのはごく一部の医薬品ですが、国内外の医学的な研究をもとに作成された内容ですので参考になると思います。
おわりに
今回は薬剤師として授乳中のお薬の服用について書きました。薬剤師としては、授乳中に限らずお薬に関すること何でも気軽に相談してほしいと思いますし、私自身、患者さんたちに「あの人に相談しよう」と思ってもらえるような薬剤師でありたいと思います。